20代最後をナミビアで

青年海外協力隊(2016-3)としてナミビアで中高生にコンピュータの授業を教えています

「これが現実だよ、これがナミビアの姿だよ。」

タイトルは、この前ツメブのロケーションを案内してくれたGrade11(高2)の生徒が何度も言っていた言葉です。

Computer Studiesを履修しているGrade11の生徒が、メールアカウントとウェブサイトを作りたいので手伝ってほしいと言われ、お家にお邪魔することになりました。

生徒:16時にKFCで待ち合わせね、僕はPC2台持っていくから。
私:え?家に行くんじゃないの?
生徒:うーん、イエス、ノー、イエス、、僕の家はネット接続がないから、〇〇(同じくGrade11の生徒)の家で使っているんだ。
私:なるほどね。
生徒:Ms(私のこと)はロケーションに行ったことあるの?
私:うん、何度かちょっとだけ行ったけど、まだ全然知らないよ。
生徒:なら僕が案内するね。僕はタウンに住んでいるけど、〇〇の家はロケーションにあるんだ。ナミビアにいるからにはMsには絶対に知ってもらわなきゃ。

そんなやりとりがあり、金曜16時にKFC(ケンタッキーですよ)で待ち合わせました。

さて、ここでタウンとロケーションについて説明しましょう。

これまで何度かブログで触れてきましたが、ナミビアの多くの街(特にドイツ植民地時代に白人が住んでいたところでしょうか)はタウンとロケーションに分かれています。
タウンは、それは先進国のように整備されていてきれいで、白人と一部黒人が住んでいます。一方のロケーションは、私が想像していた"アフリカ"です。スラム街みたいな感じで、治安も悪いです。黒人は主にロケーションに住んでいます。
なぜこのように分かれているかというと、植民地時代、街の中心地に白人が住み、黒人は郊外へと追いやられたわけですね。この住み分けはその後の南アフリカアパルトヘイト政策にも引き継がれ、今も続いています。

ロケーションにはこれまでに別の生徒やAPC(アーツ教室)の先生などに案内してもらって何度か行っています。何に驚くって、ふだんはあんなに白人を見かけるのにロケーションに足を踏み入れるとまーーったくいないことです。0人です。ゼロ。

ツメブの地図↓を見てください。
B1という幹線道路の東(右側)がタウン、西(左側)がロケーションです。
タウンは各ブロックが広々して区画整理がされているのに対して、ロケーションは道が細く、入り組んでいるのがわかるかと。
ロケーションまでは家から約1キロ。ほぼ毎日行っているショッピングモールの裏からロケーションが始まります。

 ツメブのロケーションはいくつかの地区から構成されています。
ここはタウンじゃないの?と思うほど、大きな家(中には電子鉄線付きの家も)が並び、道路も広くてきれいな地区もありました。言うまでもなくロケーションの中で一番土地?家賃?が高い場所だそうです。
そしてその横に位置するのが、皮肉にも一番貧しいKuvukiland コブキランドというところです。Googleマップには出てきません。この地区にある家の100%がトタンでできています。f:id:h283-namibia:20171030041715j:plainこれはその入口。奥までは入りませんでしたが、トタンの家がびっしり並んでいるのが確認できました。ここには電気は通っていません。水道も1つしかないんだとか。 

ブロックでできた家とトタンでできた家が半々の地区もあります。f:id:h283-namibia:20171030041034j:plainf:id:h283-namibia:20171030041354j:plainこの地区から通っている生徒は朝5時に起きて毎日歩いてきているんだよ、歩けば1時間近くかかる距離じゃないかな、朝早く家を出ても遅刻するとtransgression(罰則と訳せばいい?)が貯まっていくんだよ。

あの子たちはあそこの学校の生徒だね、みんなこんなところに住んでいるんだよ。ここからタウンにある学校まで通っているんだよ。信じられる?

これが現実だよ、きっと政府はきれいな部分しか見せないから、ナミビアの現実をMsには知ってもらいたかったんだよ。

僕はここに住んでいる人たちが貧しいとは思わない。ただ貯金するというスキルがないんだよ。お金を貯めたらトタンではない家を建てて、タウンに住むこともできる。でもそれができないんだよ。

彼はそんなことを言っていました。

彼曰く、私の配属先の生徒の80%がロケーション、10%がタウン、10%が寮住まいではないかとのことです(ツメブのタウンの家はとても高いらしい)。

ちなみに、お邪魔した彼の友達(というか生徒)のお家はとってもきれいでした。ロケーションというとトタンの家のイメージが先行していた私ですが、そうじゃないんですね。
私が好きな飲み物(レモンツイスト)を用意してくれていて、作業をしました。でも話している時間が長くて肝心のウェブサイト作りまではたどり着かず笑。また、生徒のお母さんにファットケーキもご馳走になり、おいしかったです(ファットケーキとは甘くない揚げドーナツみたいなものです)。

他にも皆さんにシェアしたい部分はあるので、またの機会に写真におさめて記事にしようと思います。

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こんなに整備されたタウンで生活していると、同じ街なのかとか疑ってしまうけれど、これが現実です。ナミビア、奥が深いですね。